こんにちは。バンドルカードを運営しているカンム社で、カスタマサポートをやっている平湯(ひらゆ)です。
だいぶ間が空いてしまいましたが、海外のカスタマサポート資料を読んだシリーズです。せっかく個人ブログ開設したので、今回からこっちでやっていきます。
読んだ記事は Playvox社の『9 Contact Center Metrics Essential for Success』。内容はこの記事タイトルそのままです。
カスタマサポートはたくさんやることがありますが、メインミッションは「コンタクトセンターの安定稼働」です。その安定稼働のための指標設定のヒントになった記事でした。
導入
運営者はKPIの理解が必要だといってます。評価を適切に行うために、現場と相関性のある指標を設定する必要があります。その指標とはなにかを紹介する記事です。
コンタクトセンターのオペレーションの効果を分析するためには、マネージャーや意思決定者は、KPIに関して何が最も重要なのかを理解する必要があります。 そのためには、目障りな事実や数値を整理し、定性的な測定と定量的な測定の間にある重要な視線を見つけることが必要です。例えば、エージェントが1時間にかけた電話の数だけでサービス戦略全体を決めてしまうと、どうしても顧客サービスに悪影響を及ぼしてしまいます。 お客さまを大切にするには時間がかかります。しかし、コール数を無視すると非効率になります。また、コンタクトセンターでは、一つのKPIが他のKPIに影響を与えることを念頭に置いて、全体的に測定することが成功につながります。
以下の9つが挙げられてます。
- First Contact Resolution (FCR):初回返信時間
- Cost Per Contact:問い合わせ1件あたりのコスト
- Service Level/Response Time:サービスレベル/レスポンスタイム
- Abandoned Call Rate:放棄された電話の割合
- Average Handle Time (AHT):平均処理時間
- Average Call Transfer Rate:平均コール転送率
- Customer Satisfaction Score (CSAT):顧客満足度スコア
- Customer Retention Rate (CRR):カスタマー・リテンション・レート
- Agent Schedule Adherence & Agent Attrition Rate:エージェントのスケジュール遵守とエージェントの離職率 レート
9つの指標について
1. First Contact Resolution (FCR):初回返信時間
- 最初のコントタクトで問題解決した時間
- 最初に解決できなければ、リピーターが増え、担当者が問題解決の方法を知っていてもコールバックを要求されることになる
- FCRの短縮は、AHT(Average Handle Time:平均処理時間)を短縮することにもつながる
これは当社CSチームも指標として設定していますね。
2. Cost Per Contact:問い合わせ1件あたりのコスト
- コンタクトセンター運営に関するすべての費用を考慮したうえでの1件あたりのコスト
- ユーザーとの対話ごとにコンタクトセンターにどれだけのコストがかかっているかを包括的に理解することができる
- この指標を長期的にトレースすることで、どこでコストを削減するべきか、どこにリソースを追加すべきかを分析できる
問い合わせ総数は、再問い合わせや当社から質問した際の回答の確認も含めて1件としてカウントしたほうが、測りたい指標として良さそうですね。
3. Service Level/Response Time:サービスレベル/レスポンスタイム
- 問い合わせに対する応答時間
- "X%の問い合わせをY秒/時間/日以内に返信している"を設定する
- 例えば、"100%のコンタクトを4時間以内に返信"のような設定をするイメージ
- サービスレベルとレスポンスタイムのKPIを設定するときは、まず一貫性に重点を置く必要がある
- まずは安定を目指し、そこからレベルアップのチャンスをつかむべき
当社CSチームはお問い合わせから2営業日以内の回答をユーザーと約束しています。
4. Abandoned Call Rate:通話放棄率
- エージェントが応答する前にお客様が電話を切ってしまった通話の割合
- チャットボックスを閉じてしまった、デジタルコミュニケーションを終了してしまった数
- Valero社が行った調査によると、なんと60%のお客様が1分間保留になった後、イライラして電話を切ってしまうそう
- 通話放棄率をモニタリングすることで、管理者はエージェントの生産性が全体としてどの程度なのかを把握できる
日本は「応答率」で測るのが一般的な気がします。注目すべきは放棄数であるのはそのとおりなので、放棄率で見たほうが実感が湧くのかもしれませんね。
5. Average Handle Time (AHT):平均処理時間
- 問い合わせ解決にかかる平均時間
- 通話中の顧客の保留時間や、通話後に行うオペレーション時間も含まれる
- サービスレベル、エージェントのパフォーマンスと効率、緊急性について、重要な洞察を得ることができる
- 処理時間の改善には、コールハンドリングと製品知識の向上が重要なポイントとなるが、ツールやシステムのトレーニングを組み込むことも見逃せない
- エージェントは、特定のソフトウェアの操作に慣れていないために、「ベストプラクティス」を怠っている可能性がある
- また、コンタクトセンターでは、自動化を活用することで、平均処理時間を最適化できる
ツール活用と自動化はそのとおりだなと思います。地道な研修・改善で地味に効果を積み上げていく分野だと日々感じます。
6. Average Call Transfer Rate:平均コール転送率
- 転送された問い合わせの割合
- この指標をモニタリングすることで、非効率なルーティングやエージェント側での誤った処理など、微調整が必要な分野をピンポイントで特定することができる
- Walker Information社の調査によると、89%のお客様は、複数の担当者に自分の問題を繰り返すように言われると、非常に不満を感じるそう
- CSチーム内で解決できるよう、エージェントが直感的に操作できるシステムを提供することから始めるのが賢明である
当社はメールの返信もなるべく同担当者がひとつの問い合わせをやり切るようにしています。(ユーザーの返信に時間が空いても初回返信した同じ担当者が返信するようにしている)
7. Customer Satisfaction Score (CSAT):顧客満足度スコア
- 顧客満足度アンケートの満足度割合
- CSATの測定は、コンタクトセンターのパフォーマンスを把握するために不可欠であり、会社が利益目標に向かってどのくらいのペースで進んでいるかを解釈するための貴重な指標でもある
- CSATスコアを向上させるためには、エージェントが継続的に個別トレーニングを受けられるようにする必要がある
- さらに、リソース、インセンティブ、ゲーミフィケーションのようなツールを活用して、エージェントがベストプラクティスを遵守し、あらゆるKPI基準(サービスレベル、FCR、通話放棄率、AHTなど)を上回ることができるようにする必要がある
当社CSチームもCSATを指標の一つにおいてます。
8. Customer Retention Rate (CRR):カスタマー・リテンション・レート
- 簡単にいえば、「コンタクトセンターがどれだけ顧客を維持できているかを示すもの」で、一定期間に獲得した新規顧客数と解約した既存顧客数を比較したもの
- 顧客維持率が5%向上するだけで、企業の収益は25〜95%向上する
- 顧客を維持するのは簡単なだけでなく、費用対効果も高い
9. Agent Schedule Adherence & Agent Attrition Rate:エージェントのスケジュール遵守とエージェントの離職率 レート
- エージェントが固定されたスケジュールの中でどれだけ効率的に仕事をしているかを明らかにする指標
- チームのスケジュール遵守を強化することで、シフト間のスムーズな移行を促進し、放棄率や応対ミスの発生を最小限に抑え、コンタクトセンターが高品質なサービスレベルを維持するのに役立つ
- 労働統計局によると、米国のコンタクトセンターでは、平均して前年比30~45%の離職率があると言われている
- 改善には職場環境の構築が重要
- 良い影響を与えるためには、リーダーがパフォーマンス指標を掘り下げ、一貫性に報い、評価と賞賛に満ちた雰囲気を醸成する必要がある
- フィードバックやアイデアの共有を奨励することが重要
- チームが安心して意見を述べることができる場を作るようにすることで、エージェントの離職率を下げる効用がある
オペレータのモチベーションを維持しつつ、パフォーマンスを上げるのは容易ではないことを日々痛感してます…。委託先であればなおさらであり、現場リーダーとのめちゃくちゃ密なやり取りが必要と思います。
おしまい